ここは中国、上海。無数のネオン灯がきらめくこの都市に住む40代の女性、小花(シャオファー)。
朝も昼も夜も忙しく動き続ける街の一員として、小花は年を重ねるごとに美しさを増す、まるで艶やかなワインのような女性だった。身近な人々から「若々しいね」と日々囁かれる中、彼女は自分がいつまでも若く、そして美しくあり続けることに内心満足していた。
そしてある日、上海の巨大スーパーで小花の日常が壊れた。購入した物をレジに運び、そのカウンターに立っていた20代の店員から「アーイー(おばさんという意味)」と呼ばれたのだ。その瞬間、小花は驚愕し、内心で「え?私のこと?」と困惑した。
だが次の瞬間、20代の店員が再び「アーイー」と小花を指差し、その瞬間小花の心はグラスが割れるような音を立てて崩壊した。「あなた、誰に向かって、私をおばさん扱いしてんのよ!」と、声を震わせながら20代の店員に反論した。
しかし店員は決して退かなかった。「だって、おばさんは、おばさんじゃないですか」と反撃したのだ。そう、このスーパーのレジ前で小花と若き店員の間に紛糾する口論が始まったのだ。
次第に口論はエスカレートし、お互いに手を振り上げているところまで行きついてしまった。その様子を撮影したものがSNSに拡散され、小花と店員の取っ組み合いが一夜で全国的な話題に。
しかも、「いくつになっても自分は若い」という女性の深層心理を如実に表す一件として、社会現象ともなった。
そう、小花の日常が壊れたあの日から、彼女の物語は全国に広まり、その後「年齢なんてただの数字」、「美しさは心の中に」というメッセージに生まれ変わり、上海の街角から世界中の女性へと響き渡った。